宇多野病院 スタッフの皆様
Arcadia社のAcousticCoreを使いはじめて約1年になります。 当院の言語聴覚療法の対象は、パーキンソン病など神経難病の方が多く、ほとんどの方に何らかの構音障害、音声障害がみられます。 昨年より、患者様の発声発語機能評価の一つとして、音声を録音して、AcousticCoreで音響分析を行っています。 音声の評価は、従来は聴覚印象に頼っていましたが、今後は、客観性のあるデータとしてとらえていきたいと考えています。 昨年は、その取り組みとして、パーキンソン病の42症例で声域検査等の結果を学会で発表させて頂きました。 また、当院では神経内科の医師も音響分析を用いて神経難病の発声発語の障害像を捉える研究を行っています。 今後は薬効やリハビリの効果と音響分析の結果とを比較したいと考えていますが、まだそこまでは至っておりません。
まだ見慣れていないためかもしれませんが、音響分析の結果と要因を個別に取り出して比較するのはなかなか難しいことです。 GRBASの評定に関してもスペクトログラムなどから、もう少し定量化して言えることがあれば良いのですが、嗄声の評価については聴覚印象と音響分析の結果を照合 することは難しく、今後の課題です。
現在の取り組みとしては、この他にディアドコ検査を実施していますが、加速のある場合などに回数や間隔を測定するのが大変なので、 可能であれば、AcousticCoreにもそのような機能を追加して頂ければより便利になるかと思います。 その他、患者様にサウンドスペクトログラムを見せて、健常者の音声とどのように違うのかを説明する場合があり、 AcousticCoreは音声障害の状態を説明するツールとしても役立っています。 今後も便利な機能をどんどん追加して頂ければ、我々STにとってより便利なツールになるかと思います。
(2012/11/20)
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